日々の掃除は、空間と内面の絡まりを同時にほどいていく静かな儀式の時間になります。
私が好んで使っているのが棕櫚のほうきです。 この道具の素晴らしいところは、準備がいらない軽やかさにあります。 コードを引き出す手間も、事前の充電も必要ありません。目についたとき、気が向いた時に、たださっと手に取るだけ。
植物の繊維が床を撫でる、サッサッというリズミカルな音。 掃き出される埃やごみ。家族の過去が残した残骸。 時間の止まった残骸に風を送り、動かして、その空間をゼロに戻していく。
一通りほうきで掃いた後の空間を見る時、私は毎回、少し不思議な気持ちになります。 ほうきで掃いただけなのに、埃がなくなっただけではないような、清らかな空間が出来上がっているからです。
もちろん、現代の便利な道具を手放しているわけではありません。
ちりとりでとり切れない細かな塵を吸ってもらったり、空間全部を掃除機にかけることももちろんあります。ただ、ほうきを掃除の道具として仲間入りさせたあとは、小さな掃除の頻度があがり、掃除機のフィルター交換の頻度は下がりました。
ただ静かに壁に立てかけられ、出番を待っている姿も美しく、使うほどに自分の手に馴染んでいく。特別な呪文を唱えなくても、ただそこにあって、毎日の営みに光を降ろしてくれる。
棕櫚のほうきは、きちんとお手入れをすれば何年、何十年と長く付き合っていくことができるそうです。 きっと、これからもずっと、生活と浄めの魔法を支える道具としてそばにいてくれると感じています。

コメント